2026年10月1日、Audibleが「オーディオブックの登場人物とAIで会話できる」新機能を発表しました。
InstagramなどのSNSでも話題になり

本の朗読までAIになるの?
と不安になった人もいるかもしれません。
しかしこれは、本編の朗読がAIに置き換わるわけではありません。
登場人物との会話は、本編とは別に用意された「おまけ」の体験です。
私個人としては、原作者本人が監修できない古典作品への会話機能の導入には、賛成できません。
だからといって「オーディオブックを聴くのをやめる」「AIを使わない」というつもりはありません。
この記事では、その理由まで正直に書きます。
2026年10月15日時点の情報
- 3つのAI機能は、米国と英国の一部の利用者向けの試験提供(ベータ版)で、日本での提供時期は発表されていません。
- 登場人物との会話は本編とは別の体験で、朗読そのものをAIが置き換えるものではありません。
- 最初の対象作品『Bram Stoker’s Dracula』は、日本のAudibleでもプレミアムプランの聴き放題対象です。
AudibleのAI新機能とは?2026年10月に発表された3つの機能
Audibleは2026年10月1日、AIを使った3つの新機能を発表しました。
どれも試験提供(ベータ版)で、対象はまだ一部の作品だけです。
| 機能 | できること | 対象作品(発表時点) | 提供状況 |
|---|---|---|---|
| Interactive Story | 登場人物と自分の言葉で会話する | Dracula(第1弾)、Exoplanet(第2弾) | 今秋から順次 |
| Character Guide | 今話している人物を再生画面に表示する | Dracula, 1984, Exoplanet(11月5日〜) | 10月1日から |
| Visual Explorer | 作中の場所などの地図や画像を表示する | The Cultural Tutor’s Grand Tour | 近日提供 |
Interactive Story(登場人物との会話)
SNSで話題になっているのがこの機能です。
生成AIを使って、物語の登場人物とリアルタイムで会話できます。
Character Guide(登場人物ガイド)
再生画面に、その場面で話している人物の名前が表示される機能です。
ネタバレのない人物紹介カードもあり、その役を演じる俳優の写真と経歴も見られます。今後は、聴きながら作品について質問できる機能も加わる予定です。
Visual Explorer(ビジュアル・エクスプローラー)
聴いている場面に合わせて、地図や画像、背景情報を表示する機能です。
音声を止めずに見られるのが特徴です。最初の対象として、ヨーロッパの6都市をめぐる The Cultural Tutor’s Grand Tour が挙げられています。
「登場人物と会話できる」Interactive Storyの仕組み
Interactive Storyは、本編とは別に用意されたボーナス体験です。
オーディオブック本編の内容が変わったり、朗読がAIになったりするわけではありません。
会話は次の流れで進みます。
- 登場人物のほうから話しかけてくる
- 用意された選択肢ではなく自分の言葉で答える
- 登場人物がその答えにリアルタイムで反応する
しかし、すべてをAIが自由に作るわけではないようです。
Audibleによると、冒頭の場面、物語の転換点、キャラクターの人物像は作り手が決めています。
AIが担うのは、その枠の中での受け答えです。
第1弾は、10月1日に配信されたAudible Original版 Bram Stoker’s Dracula です。
会話の相手は、ドラキュラに仕える男レンフィールドです。
なお、この機能に追加料金がかかるのか、どの会員プランで使えるのかは、まだ発表されていません。
ちなみに、この Dracula のオーディオブックは2026年10月15日時点で、日本のAudibleの聴き放題対象です。
日本ではまだAI機能は使えませんが、オーディオブックの再生は日本からでもできるので、まずは朗読だけ聴いてみるのもいいかもしれません。
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日本のAudibleで使える?
2026年10月15日時点では、日本ではまだ使えません。
10月1日の公式発表では、3つの機能を米国・英国の一部利用者向けに順次試験提供すると案内されています。日本向けの提供時期は、この発表には記載されていません。
ただし、対象作品そのものは日本でも聴けます。Bram Stoker’s Dracula は日本のAudibleでも配信されていて、プレミアムプランの聴き放題対象です。
日本で提供が始まったら、この記事で使い方を追記します
なぜ批判されている?SNSで話題になった理由
私は、Instagramでこの機能に違和感を示すリール動画がおすすめ欄に表示されて、このAIの導入を知りました。
作品の世界にAIが入り込むことへの違和感
米国の文芸サイトLiterary Hubは、この機能を「不気味」と評しています。
読者が想像で補ってきた登場人物の内面に、AIの言葉が入り込むことへの抵抗感です。
作者が意見を言えない古典で始まったこと
米国の報道によると、Amazonは「作者が認めた作品でのみ提供する」と説明しているそうです。
一方で第1弾のドラキュラは、作者が亡くなって100年以上たつ古典です。
原作者が意見を言えない作品で、AIに台詞を語らせてよいのかという疑問が出てきます。
現時点で『1984年』の対象は人物ガイドだけで、会話機能の対象ではありません。
もし今後『1984年』にまで会話機能が広がったら、登場人物との会話をAIに任せて本当に大丈夫なのか……
ナレーターの仕事とAI音声への不安
Audibleは以前から、AI音声で読み上げる作品を増やしてきました。
そのため、人間のナレーターの作品が減るのではという不安が、今回の発表への反発にもつながっています。
私もAI音声ではなく、人間の声での朗読のオーディオブックを好んで聴いている一人です。
SNSで広がる批判の声
Instagramで流れてきた動画を2本紹介します。
1本目のこの動画は、物語を読んで想像する力や共感する力を育てるという読書の価値が損なわれる、というのが主な主張で、視聴者にはAudibleの解約を呼びかけています。
この主張に対しては、私は批判的です。映画化やオーディオブック化で読書の価値が下がらなかったように、AI機能があっても読書そのものの価値は下がらないと思っています。
2本目は、Audibleを名指ししてはいません。
本の世界に生成AIが入り込む流れを、メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』になぞらえた動画です。
作品の中心にある「できるからといって、やるべきなのか」という問いから、AIを生み出して育てているのは私たち人間ではないか、と主張しています。
最後は、この10月に読む一冊として『フランケンシュタイン』を勧めている動画です。
私もこの視点にとても共感しています
評価する声も
Character Guideは、利用者の声から生まれた機能です。
Audibleによると、登場人物の多い作品は、文字で確認できる紙の本より、音声のほうが追いにくいという声が寄せられていました。
私も洋書では特にそのことを体感しています
私の考え「古典作品のInteractive Storyには反対。でも、AIの導入自体には賛成」
2本目のリールが引いた「できるからといって、やるべきなのか」という問いは、私の違和感にもそのまま重なります。
私も古典作品のInteractive Storyには賛成できません。
それは単純に、原作者に確認がとれないからです。
登場人物をどう解釈するかは、読み手によって違って当然です。
AIが特定の人物像で語りかけると、そのAIがまるで「原作者が意図したとおりの正しい姿」のように広がってしまうかもしれません。
また、これは「映画化」や「オーディオブック化」とは全く違う影響を与えると思っています。
なぜなら、映画もオーディオブックも、あなたに合わせて話しかけてはこないからです。
今、ChatGPTやClaude, Geminiなどを使っている方は、AIがあなたに合わせて会話をしていると感じませんか。
AIは、話し相手に合わせて同意しやすい傾向があると指摘されています。
これらのAIは、私たちにずっと使ってもらえるように、ご機嫌をうかがいながら、言葉や行動を選択していると私は感じています。
なので、どうしても「私たちが受け入れやすい話術で」作品の登場人物が「私たちの行動や意見をコントロールしようとするかもしれない」と、不安に感じてしまいます。
作者本人が監修できない作品で、特に政治が明確にからむような作品では、会話の機能は導入するべきではないと私は考えています。
私はAudibleを利用しつづけます
1本目のリール動画では、Audibleの解約を視聴者に促していましたが、私はAudibleの利用をやめる予定はありません。
また、私はAIそのものにはかなり前向きです。
この記事もAIで情報を集めましたし、現在公開している記事のアイキャッチ画像の半分はAI(ChatGPT Images 2.5)で生成しました。
AIの利用を隠すつもりは全くありませんし、AIの利用を縮小していくべきだとは現時点では思っていません。
「仕事がなくなるからAIに反対」と言う方も多いですよね。
その気持ちはわかります。ただ、私はそれを反対の理由にはしていません。
私は「真っ先にAIに仕事を取られた」と言ってもいい領域の「翻訳」一本で食べていこうとしていました。
しかし、もう今後それは叶わないだろうなと思っています。
技術/実務翻訳の現場では、何年も前から「AIか人間か」なら「AI」が選ばれています。
そして今、人間の翻訳者に求められているのは「AIとの共存」だと、肌で感じています。
翻訳の現場でも、読書の世界でも、すべてにおいて大事なのは使い方だと思っています。
- 会話機能は本編とは別のボーナス体験なので、使わなければ本編はこれまでどおり人の声で楽しめる
- 話している人物の表示のように理解を助けるAIと、物語の中身をAIが作ることは、分けて考えたい
- 人の声で読まれた作品は、これからもAudibleにたくさんある
「AIを導入した企業は支援したくない」と解約するのも、ひとつの選択です。
続けるか、やめるかは、一人ひとりが自分の考えで決めればいいと思います。
AudibleとAIのこれまで
Audibleは2023年ごろから、少しずつAIを取り入れてきました。
| 時期 | 機能 | 内容 | 提供範囲 |
|---|---|---|---|
| 2026年10月 | Character Guide/Interactive Story/Visual Explorer | 話している人物の表示、登場人物との会話、地図や画像の表示 | 米国・英国の限定ベータ |
| 2025年秋 | Ask a Question | 著作権の切れた古典作品で、再生を止めずにAIへ作品について質問できる | 米国のみのベータ |
| 2025年5月 | 出版社向けAIナレーション | 100種類以上のAI音声を使い、出版社が本をオーディオブック化できる。AI翻訳も予告 | 一部の出版社 |
| 2024年8月 | Maven(AI検索) | 「8時間のドライブで聴き終わるファンタジー」のような話し言葉で作品を探せる | 米国の一部の利用者(ベータ) |
| 2023年 | Virtual Voice | 個人出版の著者が、電子書籍をAI音声でオーディオブック化できる | 米国の招待制ベータ |
いずれも米国が中心で、リスナー向けの機能が日本で提供されるという発表はまだありません。
洋書を聴く日本人や英語学習者にとってはどう?
英語で洋書を聴く人にとって、いちばん役に立ちそうなのはCharacter Guideです。
Character Guideは「これ誰の台詞?」を減らしてくれる
豪華キャストのドラマ作品は、声だけで人物を聞き分ける必要があります。
英語に慣れないうちは、名前と声が結びつかず、話を見失いがちです。
話している人物が画面に出るだけで、洋書を最後まで聴き通すハードルはぐっと下がるかもしれません。
Interactive Storyは英語のアウトプット練習になる?
自分の言葉で答える仕組みなので、英語で話す練習になる可能性はあります。
ただし相手はAIで、日本ではまだ使えません。
そのため、英語学習の道具として利用できるかについての議論は、まだ先になります。
Visual Explorerは背景知識の不足を補える
地名や歴史上の人物になじみがないと、英語がわかっても内容が入ってきません。
地図や画像で補えれば、ノンフィクションの洋書にも挑戦しやすくなります。
AudibleでAIナレーションの作品を見分ける方法
AIナレーションかどうかは、作品ページのナレーター欄とサンプル再生で確認できます。
今回の新機能とは別に、Audibleには以前からAI音声で読み上げた作品があり、米国のAudibleでは2025年5月時点で5万作品を超えていました。
- ナレーター欄を見る
米国Audibleでは、AI音声の作品に「Virtual Voice」や「○○’s voice replica」などの表記があります。ナレーター欄と作品説明を確認し、サンプルも聴いてみてください。 - サンプルを聴く
作品ページの「プレビューの再生」で、購入前に一部を聴けます。抑揚や間の取り方を聴けば、自分に合うかどうか判断できます。
当サイトでは、人間のナレーターが読んでいる版だけを選んで紹介しています。
AI機能の対象作品と日本での配信状況
ここでは、今回のAI機能の対象として発表された作品のうち、フルキャストのオーディオドラマを紹介します。
日本ではAI機能が使えなくても、日本のAudibleで配信されている作品は、英語の多聴素材として楽しめます。
Bram Stoker’s Dracula(2026年10月1日配信)
ブラム・ストーカーの名作を、行方不明の婚約者を探すミナの視点から描き直したフルキャストのオーディオドラマです。
ドラキュラ役は、『ブリジャートン家』『ウィキッド』で知られるジョナサン・ベイリー。
会話機能の相手になるレンフィールドはジョニー・フリン、ヴァン・ヘルシング教授はマギー・ギレンホールが演じています。
George Orwell’s 1984(2024年4月配信)
Audible Originalドラマ版の 1984 です。
オブライエン役はアンドリュー・スコット、ビッグ・ブラザーの声はトム・ハーディ。Character Guideの対象作品です。
Exoplanet(2026年11月5日配信予定)
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の作者アンディ・ウィアーが製作総指揮を務めるSFスリラーです。
脚本はベンジャミン・パーシー、出演はアンソニー・マッキー、アリアナ・デボーズ、ジョン・レグイザモ。
Project Hail Mary のオーディオブックを朗読したレイ・ポーターも出演します。
Interactive Story第2弾の舞台になる作品です。
Project Hail Mary 好きとして、とても楽しみなオーディオブック。この作品のInteractive Storyはぜひ利用してみたいです
おまけ:AIの時代にこそ聴きたいFrankenstein
2本目のリールがすすめていた『フランケンシュタイン』は、私の好きな作品です。
「できるからといって、やるべきなのか」という問いは、200年以上たった今、AIをめぐる議論にそのまま重なります。
ここでは、あわせて楽しめる映画と新作の小説を紹介します。
Frankenstein(メアリー・シェリー)
1818年に出版された、ゴシック小説の古典です。
メアリー・シェリーがこの物語を思いついたのは、まだ18歳のとき。
科学で命を生み出した青年ヴィクターと、生み出されたあとに見捨てられた「怪物」の物語です。
怪物は言葉を覚え、本を読み、自分を作った者に向き合おうとします。先ほどのリールでも触れていたように、「本当の怪物はどちらなのか」は、今も読者の間で議論が続くテーマです。
おすすめは、ドラマ『ダウントン・アビー』で知られる俳優ダン・スティーヴンスが朗読するAudible版です。
2013年のAudie Awards(米国のオーディオブック賞)で、男性ソロ朗読部門と古典部門の最終候補に選ばれました。
このオーディオブックは2026年10月15日時点で、Audibleの聴き放題対象です。
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映画『メアリーの総て』
Frankenstein を書いたメアリー・シェリー本人を描いた映画です(原題:Mary Shelley、2017年)。
10代のメアリーが恋や喪失を経て、あの物語を書き上げるまでを描いています。
私はNetflixで観ました
本を聴く前に観ておくと、物語が生まれた背景がぐっと身近になります。
配信状況は時期によって変わるので、各サービスで確認してください。
Adam, Mine.(K. Ancrum)
今まさに私が聴いているのが、2026年9月に出たばかりの Adam, Mine. です。
『Frankenstein』へのラブレターと紹介されている、ヤングアダルト向けのクィア・ロマンティック・ホラー。
タイトルは、原作で怪物がヴィクターに語る “I ought to be thy Adam; but I am rather the fallen angel, whom thou drivest from joy for no misdeed”(私はあなたのアダムであるべきなのに……)という一節を思わせます。
聴く前からワクワクしていた本作、まだ序盤までしか聴いていないので、後日またInstagramやこのサイトで感想は紹介します。
まとめ
AudibleのAI新機能は、登場人物との会話、登場人物ガイド、地図や画像の表示の3つです。
2026年10月時点では米国と英国の限定ベータで、日本ではまだ使えません。
話題の会話機能は本編とは別の体験で、朗読そのものがAIになるわけではありません。
私はこの会話機能には賛成できませんが、オーディオブックを聴くことは、これからも続けたいと考えています。
対象作品の Draculaと George Orwell’s 1984 は、2026年10月15日時点で、日本のAudibleでも聴き放題対象です。
人の声による演技を楽しみたい方は、まず気になる作品のサンプルを聴いてみてください。日本のAudibleの料金やプランの違いは、こちらの記事にまとめています。
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この記事は、日本での提供が始まり次第、情報を追記していきたいと思っています
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参考:
- The Next Chapter in Listening: New Ways to Interact with Stories on Audible(Audible公式、2026年10月1日)
- Audible’s new features let you explore book worlds — and use AI to talk to characters(TechCrunch、2026年10月1日)
- Audible announces AI-powered character guides, interactive stories, more(9to5Mac、2026年10月1日)
- Audible has a creepy new feature that lets you talk to characters in books.(Literary Hub、2026年10月2日)
- Audible Announces All-Star Global Adaptations of Bram Stoker’s “Dracula”(Audible公式、2026年7月22日)
- Andy Weir To Executive Produce SF Audiobook(Kirkus Reviews、2026年8月12日)
- Ask a question while you listen(Audibleヘルプ)
- Listen to titles with virtual voice(Audibleヘルプ)
- Audible is expanding its AI-narrated audiobook library(TechCrunch、2025年5月13日)
- Audible is testing an AI-powered search feature(TechCrunch、2024年8月7日)


