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Shoko
TOEICリスニング満点・英検1級
2012年からAudibleを愛用、英語のオーディオブックは100冊以上聴いています。

経歴:英会話講師・実務翻訳・通訳


「翻訳とは」備忘録

文芸翻訳についての言葉を、少しづつ集めて随時更新していきます。

  • 引用元の敬称は省略させていただきます
  • 実務翻訳と読み取れるコンテンツからの引用はしていません
もくじ
筆者:Shoko

TOEICリスニング満点・英検1級の元英会話講師。2012年からAmazonのAudible(オーディブル)を愛用しています。

翻訳とは

結局のところ、音楽にたとえるなら、原文がライブだとすれば、翻訳はライブを録音し、編集したCDのようなものかもしれない。(略)言い換えれば、翻訳は負け戦だっていうことですね。

柴田元幸『ぼくは翻訳についてこう考えています 柴田元幸の意見100』(音楽にたとえるなら)

翻訳というものには多かれ少なかれ「賞味期限」というものがある。賞味期限のない文学作品は数多くあるが、賞味期限のない翻訳というのはまず存在しない。(略)翻訳というのは、基本的に親切心がものを言う作業だと僕は思っている。意味が合っていればそれでいいというものではない。文章のイメージが明瞭に伝わってこないことには、そこにこめられた作者の思いは消えて失われてしまう。

村上春樹『グレート・ギャツビー』(翻訳者として、小説家として―訳者あとがき)

同じものを十人が訳せば、十通りの訳ができあがるように、同じ人間が同じものを十回訳しても、十通りの訳になるのではないか。翻訳というのはつくづく一過性であり、”生木のようにくすぶり続ける”ことを宿命づけられているものだと思う。

田口俊樹『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』(一章ミステリー翻訳者)

やっぱり自分のものを書くのと翻訳はずいぶん違います。翻訳というのは、原作者に寄り添うこと。それが仕事だと思いますので、彼の言う通り、彼女の言う通りに、いかに言い分を上手く立ててぴったり寄り添うか、そういう気持ちで臨みます。

三木卓
絵本ナビ:40年以上愛され続ける幼年童話の傑作「がまくんとかえるくん」シリーズ 三木卓さんインタビュー

翻訳とは、「原著者が仮に日本語を知っていたら、そう書くにちがいないような日本語にすること」だとわたしは考えています。

越前敏弥『日本人なら必ず悪訳する英文』(まえがき)

じつは翻訳とは、「原文を読む」部分の重要性が八割か、九割ぐらいではないかと、わたしは思っています。一語一句を訳すには、一語一句を精読し、的確に解釈しなくてはなりません。つまり、翻訳というのは大部分が「読むこと」であり、精密な読書、あるいは深い読書のことなのです。

鴻巣友季子『翻訳ってなんだろう? あの名作を訳してみる』(序章 翻訳ってなんだろう?)

翻訳というのは、小心さと同時に大胆さも要求されるものなので、ときにはあえて豪傑訳の精神に立ち返ることも必要になる。

宮脇孝雄『翻訳の基本 原文どおり日本語に』(翻訳家の基本姿勢)

実は翻訳には「正解」というものは無くて、あくまで近似値しかありません。「変えるのなら、訳すな」という作家の方もいるかと思い、それは仕方がありません。でも作者にとっても、翻訳は異文化との出会いではありませんか?異文化を受け入れて、翻訳者の身体を通じて作品が変容することを楽しんでもらえたら、ステキなコラボレーションが成り立ちます。

灰島かり『新装版 絵本翻訳教室へようこそ』(翻訳に「正解」はないのです)

詩の翻訳

和訳に原詩の音楽を移すことは、外国詩の翻訳で訳者が直面する難事なのだ ― いや不可能事なのだ。なまじそれをしようとして、古風な文語体や定形体で訳して、幾人もの訳者が失敗してきた。私の詩では、原詩の音楽性とは「無関係」に、自分の詩の口調で、現代詩として読めるものとするように努力した。

加島祥造『対訳 ポー詩集 アメリカ詩人選(1)』(翻訳家に必要な才能)

詩に関しては、究極的には翻訳でその作品のBodyは伝わらないと思う。Mindは伝わるにしても。だからそこまで期待は持っていません。それは「外国語→日本語」に訳された詩も同様です。これまでに本当に感動したのは二つ、三つしかないと思う。シェイクスピアの吉田健一訳とか、プレヴェールの小笠原豊樹とか、本当に数少ない。彼らの場合日本語の文体自体が素晴らしいから、翻訳云々は関係なく、純粋に優れたテキストとして読んでしまうところがあります。

谷川俊太郎『文學界2021年5月号』(対談 雪のように溶ける詩を目指して 高橋睦郎 谷川俊太郎)

翻訳を経験した人が体感できる世界

ぼくはダールの短篇に夢中になり、コツコツ訳しながら、ぼく自身が、この十五の短篇のヒーローそっくりになってくるのを、しばしば経験したものだ。

田村隆一『あなたに似た人』(ぼくの好きなダール)

「レヴィナスを訳す」というのがどれほど驚くべき経験であったか、これまできちんと人に話したことがなかった。翻訳という作業を通して訳者自身の知的ブレークスルーが成就するという驚くべき体験は、たぶん翻訳を一生の仕事としている人にしかなかなか理解してもらえない種類の話である。それを聴いてもらう相手がいるとしたら、現代日本で柴田元幸さん以上の人はいない。

内田樹『街場の読書論』(柴田元幸さんに会いに行く)

翻訳という仕事

そもそも翻訳というのは、手間暇かけてなんぼ(にもならない)の、割に合わない仕事だと思う。下手すると、ファストフードのアルバイトより時給は低いかもしれない。

金原瑞人『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(翻訳家に必要な才能)

翻訳者へのメッセージ

翻訳というのは、まず調べることから始まる。知らない単語を調べる、そして作品の舞台になっている時代や場所について調べる、作者について調べる…とにかく調べものの山なのだ。それをこつこつひとつずつ調べるのが面倒…という人はお願いだから、翻訳なんかやらないでほしい。

金原瑞人『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(翻訳家に必要な才能)

学問の世界では、だれもが自分の存在をみとめてほしくて、新説を持ち出そうとする。(略)さらに、原著者の誤りを正して手を加えたがる翻訳家もこの部類にはいる。思うに、はなはだ厚かましい。ご本人が翻訳に値する本を書き、他人様の作品には手をつけないでいただきたい。

鈴木芳子訳  ショーペンハウアー『読書について』(著述と文体について)

「翻訳は批評である」ならば、評論家とは

吉田健一さんは、翻訳は批評であると『シェイクスピア詩集』で述べています。

原文が英文和訳に出るやうなものでなければない程、それをどういふ日本語に直すかといふことよりも、原文自体に就て知ることが大切になり、それが我々が繰り返して愛読したものであるならば、次には、それがどの程度に日本語になるかが問題になる。又それは、そのどことどこだけは他のことは省いても日本語に移さなければならないかといふことでもあつて、ここまで来て訳者はいや応なしに批評家になることを強いられる。(略)ただ訳者は自分が選んだ材料に対する批評に表現を与へる仕事に、その材料を自分の国の言葉に直すといふ形を取らせるので、普通に批評と呼ばれてゐるものも、翻訳も、何れもその極致まで行けば、同じことである。

吉田健一『シェイクスピア詩集』(翻訳論)

評論家とは

The criticism is he who can translate into another manner or a new material his impression of beautiful things.

The highest as the lowest form of criticism is a mode of autobiography. Those who find ugly meanings in beautiful things are corrupt without being charming. this is a fault.

Those who find beautiful meanings in beautiful things are the cultivated. For these there is hope. They are the elect to whom beautiful things mean only beauty.

There is no such things as a moral or an immoral book. Books are well written, or badly written. That is all.

Oscar Wilde 『The Picture of Dorian Gray』(The Preface)

批評家とは、美しいものから受けた印象を、別の手法や新しい素材で伝えることができる者である。自伝の形をとるのは、批評の最高の形式であり、最低の形式でもある。美しいものに醜い意味を見いだす者は汚れていて魅力がない。その行為は間違っている。美しいものに美しい意味を見いだす者には教養があり、彼らには希望がある。美しいものに美しいという意味しか感じない選ばれた人々なのだ。倫理的な本というのも倫理に反する本というのもこの世には存在しない。本には、よく書けているか、よく書けていないかのどちらかしかない。

仁木めぐみ訳 オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』

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