『サイコセラピスト』『The Maidens』犯罪心理系ミステリー小説(アレックス・マイクリーディーズ)
2019年に英語圏で大ヒットした『The Silent Patient』(邦題『サイコセラピスト』)の著者アレックス・マイクリーディーズの新作『The Maidens』が2021年6月に出版されました。
Goodreads Choice Awards 2019のBest Mystery & Thrillerで1位だった『The Silent Patient』は、脚本家である著者のデビュー作。
『The Maidens』は待望の2作品目となります。
両作品とも、心理学や精神科医に強い興味を持っている著者ならではのストーリーだったように感じます。
『The Silent Patient』と『The Maidens』は同じ登場人物が出てくることもあり、読む順番は
- The Silent Patient
- The Maidens
がおすすめです。
アレックス・マイクリーディーズのデビュー作『サイコセラピスト』
あらすじ・概要
殺人事件の犯人アリシアの日記と、心理療法士セオ目線のニ方向からストーリーが進んでいくミステリー小説。
夫を射殺したアリシアは一言もしゃべらない。そんなアリシアを救えるのは、自分しかいない!とセオは、アリシアが収容されている施設へ転職して、カウンセリングをはじめます。
日本語のKindle版は1,986円ですが、英語版は135円なので多読用に気軽に買えておすすめです。
SNSで「いいね」が多かった感想・レビュー
英語版のオーディオブック
オーディオブックの目次は、手抜きに見える構成ですが、実はこれで十分かなと思います。
と言うのも、和書にも目次はありませんでした。
原書のKindle版では、
- Part One
- Chapter 1 – 10
- Part Two
- Chapter 1 – 34
…のような5部構成。
和書でも本文中に「第〇部」と表記があり、その中で数字が振られています。
欲を言えば、目次内にPart Oneなど、書いてほしい気もしますが後々聞き直したくなったときに、「第〇部から聞きたい」とはならないので問題ないと感じます。
Chapter 72で、著者のインタビューが入っています。
著者本人の声が聞けるのはオーディオブックならでは。
また、本書はサクッとストーリー展開を楽しむ小説だと感じたので、流し聞きに向いています。
英語の難易度も高くはなかったので、さらっと聞いて楽しみやすい本でした。
定価 | 2,700円 |
再生時間 | 8時間32分 |
アレックス・マイクリーディーズの最新作『The Maidens』
あらすじ
ケンブリッジ大学の「The Maidens」というグループに所属する女生徒が殺害される。マリアナは、イケメンな教授が犯人だと確信。けれど、教授にはアリバイがある。共犯者がいるのか?教授を追っているうちに、自分も危険な目にあっていく。
SNSで共感した感想・レビュー
『サイコセラピスト』のセオが登場することに喜ぶ読者が多い印象。私もこういう展開は好きです。
ラスト150ページくらいで、もう本が置けなくなったけど、星を付けるなら4/5くらいかな、という感覚にも激しく共感。
個人的には、ロマンチック思考で読書好きな主人公マリアナの純粋な人柄が、妙に好きでした。
英語版のオーディオブック
『サイコセラピスト』同様、Kindle版でもPart1、Part2という区切りがあるだけなので、オーディオブックの見出しもChapter表示のままで支障ないかな。
Chapter86がエピローグで、最後のChapter87は効果音とクレジットの案内のみ。
本作には著者のあとがきやインタビューは含まれていませんでした。
定価 | 3,100円 |
再生時間 | 9時間19分 |
『The Silent Patient』『The Maidens』どっちがおすすめ?
どちらか1冊だけを勧めるなら…私はストーリー展開が好きだった『サイコセラピスト』推しです。
英語の難易度は同じくらいに感じました。
『The Maidens』の方が登場人物が少し多く、心理描写が減って、わかりやすい動作で話が進んでいくので、若干ストーリーが追いやすいかも。
2冊ともギリシャ神話に触れます。(著者の母親がギリシャ出身のようで、きっとその影響ですね)
ギリシャ神話に詳しくない私でも、問題なく全体のストーリーは追えましたが、ちょっと知っていた方がより楽しめるような気がします。
全く異なるストーリーなので、どちらから読んでも問題はありませんが、『サイコセラピスト』の登場人物が『The Maidens』に出てくる際の時系列や会話にちょっとだけ楽しめる要素があるので、読む順番は
- The Silent Patient
- The Maidens
がおすすめです。
次に読んでほしい/聴いてほしいおすすめの洋書
- The Wives
- Where the Crawdads Sing(ザリガニの鳴くところ)
The Wives
『The Silent Patient』が好きだった方には、『The Wives』も読んでみてほしいです。
『The Wives』は、恋愛系スリラーを得意とするTarryn Fisherが2019年に出版した小説。
精神病院に入院したり、セラピーを受けたりするシーンもあるので、心理スリラーが好きな方におすすめです。
サイコセラピスト同様に、展開が見えている感じはしつつも、やっぱり結末が気になって仕方ない!という感じで、後半からはドキドキが止まらず、本を置くことができませんでした。
Where the Crawdads Sing(ザリガニの鳴くところ)
日本語翻訳されていてる『ザリガニの鳴くところ』も、まだ読んでいなければぜひチェックしてほしい小説。
全世界で1,000万部突破しており、日本でも2021年本屋大賞の翻訳小説部門で第1位に選ばれています。
『サイコセラピスト』や『The Maidens』のような心理学的な要素は少なく、社会的な要素が強いです。
アレックス・マイクリーディーズの小説と同様、最後の最後でストーリーの全体像が明らかになるページターナーな作品。
英語のKindle版は198円なので、ミステリー小説が好きな方はぜひ。